閉経するとどうなるの?
やがて、やってくる「閉経」。女性なら、いつか必ず、誰にでも閉経する時が、やってきます。
閉経する年齢やプロセスは個人差がありますが、これから逃れることはできません。
日本人の女性の閉経平均年齢は、約50歳といわれています。閉経後、平均寿命まで約30年もの長い期間を、女性ホルモンの恩恵なしに、過ごしていかなければなりません。
ここで、気になるのは、閉経するとどうなるのか?ということです。とくに、更年期障害に悩まされている場合、閉経後の身体の状態がどうなるのか、とても気になりますよね。
ここでは、閉経後に起こる体の変化について、ご紹介します。
閉経後に起こる体の変化とは?
閉経すると、まず一番変わるのは、「生理が来なくなること」です。これだけなら、「毎月のわずらわしい月経から解放されて、万歳!」といいたいところですが、実はそうでもありません。
女性ホルモンの恩恵が受けられなくなる
閉経すると、女性の身体を健康に保ってきた女性ホルモンが、ほとんど分泌されなくなります。女性ホルモンが分泌されなくなると、さまざまな弊害が発生しやすくなります。
更年期障害の諸症状だけではなく、徐々に、身体の機能の低下が始まります。つまり、更年期障害が、閉経と共になくなるわけではありません。
それだけに、閉経後は、更年期以上に、体調管理に気をつけなければならなくなります。これまで、女性ホルモンによって、守られていた身体の機能に、さまざまなトラブルが生じやすくなるのが、閉経後の女性の体なのです。
閉経後に起こりやすい体の変化の例
@膣や尿道粘膜の萎縮
⇒尿道炎や尿漏れ、老人性膣炎、性交痛が起こりやすくなります。
A皮膚のトラブル
⇒お肌の乾燥やシワ、たるみ。粘膜系のトラブル、乳房の萎縮などが起こりやすくなります。
B骨粗しょう症
⇒骨を維持しているカルシウムの量を調整する働きが減退します。
C心臓、血管関係のトラブル
⇒血中のコレステロールの増加を抑制する機能が低下します。これによって、動脈硬化や心筋梗塞、脳の機能低下が起こりやすくなります。
閉経すると、起こりやすくなる病気があります
閉経すると、発症しやすくなる病気について、もっと詳しく解説していきましょう。
閉経後は、身体の不調を起こしやすくなります。その一番大きな理由は、女性ホルモンの激減にあります。
女性ホルモンは、女性の生殖機能を保つ役割以外にも、こんな機能があります。閉経後は、この恩恵が受けられなくなります。
「女性ホルモンの役割」とその「女性ホルモンが減ると起こること」
・お肌をみずみずしく保つ⇒お肌のハリがなくなり、たるみやシワが増加します。
・髪の毛をつややかにする⇒髪の毛がパサパサになりやすくなります。
・血圧の上昇を防ぐ⇒高血圧症になりやすくなります。
・コレステロールの上昇を抑える⇒動脈硬化を引き起こしやすくなります。
・骨の密度を安定させる⇒骨粗しょう症になりやすくなります。
・動脈硬化を防ぐ⇒心臓病や脳卒中に注意する必要があります。
・女性らしい体を作る⇒乳房が小さくなり、身体にメリハリがなくなってきます。
・便秘を防止する⇒便秘しがちになります。
・冷えにくい体を作る⇒冷え症が重くなり、むくみやすくなります。
・自律神経を安定させる⇒イライラやうつ症状が出やすくなります。
・免疫能力を保つ⇒風邪などの病気にかかりやすくなります。
女性ホルモンにはこれだけの役割があり、閉経すると、この恩恵が受けられなくなります。
こうなると、多少の無理はきいていた身体が、病気に侵されやすくなり、また、老化の速度も早まってしまうのです。閉経後は、今まで以上に、生活習慣を見直す必要があります。
閉経後に注意したい病気を覚えておきましょう
閉経すると、一気に「生活習慣病」のリスクが高まります。
比較的、男性に多いといわれているような病気も増加しますから、注意が必要です。
糖尿病は、肥満や運動不足、ストレスなどが重なると発症しやすくなります。
「のどが渇く、疲れやすい、体がだるい、甘いものが欲しくなる、尿の量が多い」という症状が出てきたら、要注意。病院で、血糖値を測定して、診断を仰ぐ必要があります。
血圧を安定させていた女性ホルモンの減少・消失は、血中コレステロールを増加させます。
閉経後、血圧が急激に上昇したら、とくに、注意が必要です。コレステロール値が高く、高血圧になると、動脈硬化が起こりやすくなります。早めの通院を心がけましょう。
閉経した後、50代から急激に増加するのが、骨粗しょう症です。骨を強くする働きがあった女性ホルモンがなくなると、骨の細胞密度が急激に減少します。
放置しておくと、老年期に歩行困難になることもあります。気づかないうちに進行してしまう病気ですから、骨量測定を定期的に受けて、チェックするようにしましょう。
「子宮頸がん」は、30〜40代前半にかかる方が多い子宮がんですが、閉経後に増加するのが「子宮体がん」です。
「閉経したのに出血がある」という場合は、このがんの可能性があります。速やかに受診して、検査をするようにしましょう。
子宮筋腫は、閉経すると、徐々に小さくなる場合が多いのですが、ホルモンバランスの急激な変化で、急に悪化するケースがあります。
「閉経したのに痛みがある」「出血がある」という場合、すぐに診察を受けるようにしましょう。
閉経以降も注意が必要なのが、乳がんです。定期検査で、随時チェックしておく必要があります。
人によって、閉経後の症状が違うのはなぜ?
3つの要因が2つ以上重なることが原因
更年期障害もそうですが、閉経後の諸症状にも、個人差があります。
ほとんどつらさを感じない人もいますし、心身共につらくて仕方がないという症状が出る方もいらっしゃいます。
人によって、これほど閉経後の体調に違いが出るのは、なぜでしょうか?
その理由は、3つの原因が関係しています。
閉経後の症状が、人によって違う理由
症状の大小の差が出るのは、3つの要因がいくつか重なり、複雑にからみあうことが原因です。ひとつの原因だけが、理由ではありません。
@卵巣機能の低下
⇒女性ホルモンが分泌されなくなり、自律神経が乱れた状態が続く
A環境的な要因
⇒仕事や夫婦関係、地域の特色、経済的な状況、ライフスタイルなどが関係しています。
B性格や体質の問題
⇒ストレスの有無、虚弱体質、体力の低下
閉経後の健康を維持するには、どうしたらいいの?
個人差がある閉経後の症状をおさえ、健康に過ごすには、どうしたらよいのでしょうか?
それには、さまざまな方法があります。
症状を引き起こしている要因を、できるだけ正しく理解すること。その上で、その原因を少しずつ改善していくことで、症状は抑えることができます。
ホルモン治療や漢方治療
例えば、女性ホルモンの減少が一番大きな原因の場合、女性ホルモンを補充する治療を受けることで、大幅に改善することができます。
自然由来の生薬で治療する漢方治療は、女性特有の症状に効果が出やすく、漢方との相性が良ければ、かなり体調を改善することも可能です。
食生活の見直しも必須
また、日々の食生活を見直すことで、症状を緩和させたり、骨粗しょう症や動脈硬化などを防止することもできます。
ご自身の症状にあわせた取り組みをすることで、閉経後の生活は大きく変わってきます。ぴったりあう対処法を選んで、閉経後の生活を楽しく乗り切っていきましょう。
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