心療内科での治療体験D〜寛解、そして通院が終わるとき〜
心療内科に通うようになって、約2年。
抗うつ薬(リフレックス)、抗不安薬(ワイパックス)を飲まなくなって、約5か月が過ぎました。そして、ついに、心療内科の通院を終了することができました。
あまりに長期通院していたので、「通院しなくてOKになるのは、どんな感じなのか」。全く、想像できませんでした。でも、通院終了するときは、いつか来るものです。
今回は、断薬から通院終了までの色々をご紹介します。
リフレックス、ワイパックスの断薬後の副作用について
私の場合、断薬による副作用は、全くありませんでした。
抗うつ薬にも、いろいろあります。
人によっては、飲み始めと、断薬時に強い副作用を感じる場合もあると聞いていましたが、あまりに何もないので、少し拍子抜けしました。
思い返すと、抗うつ薬は、どのタイプのものが自分に合うのか。とりあえず、飲んでみないとわかりません。しかも、効果が出るまでに、2週間以上もの時間がかかります。
飲んでみて、ダメだったら次の薬。そんなことを繰り返し続けて、なかなかうまくあう薬に出会えない方もいます。それを考えると、私の場合、リフレックスは2種類目の薬でしたから、ある意味ラッキーだったと思います。
初めて飲んだ抗うつ薬「ジェイゾロフト」は、私にとっては最悪で、この薬に対しては、ある種憎しみすら感じます。飲んだ翌日に、突如胃のあたりがむかむかし始めて、しばらく寝込み、食欲もなくなって、体重が激減しました。飲んで1か月たっても、落ち込みから浮上できず、医師に「薬を変えてほしい」と依頼したほどです。
もちろん、ジェイゾロフトで回復している人も多いわけですから、この薬そのものがダメだというわけではありません。でも、私にはあわなかった。つまり、それほど、あう薬を見つけるのは、時間がかかるということなのではないかと思います。
リフレックスに切り替えたときは、ジェイゾロフトの量を少なくして、リフレックス少量を併用するという切り替え方でした。このときは、ジェイゾロフトの断薬に伴う副作用が出ないかとうかを見ていた状態でした。
幸いにも、ジェイゾロフトの減薬、断薬症状はなく、完全にリフレックスに切り替えられました。その後、1年半以上、リフレックスのお世話になったわけですが、断薬時にも、副作用らしきものが出なかったのは、本当に幸いでした。
この後、通院したのは、2回。最初は2か月に1度。その後は、3か月に1度の合計2回です。受診する度に、医師に心の調子を報告しました。
あっけなかった通院終了
断薬の副作用もなく、落ち込みがぶり返すこともなく…という状態で、抗うつ薬のお世話になりたい気持ちが全くなくなり、5か月たちました。うつは再発しやすい病気だから、抗うつ薬を飲まなくなっても、しばらく通院しました。
最後の通院で、「いったん、通院は終了してもよいですか?」と医師に投げかけました。
答えは、「OK」。
心療内科の受診を終えるときというのは、医師から告げられるものなのかと想像していましたが、自分で切りだすカタチになりました。
「また、調子が悪くなったら電話します。ありがとうございました」で、通院終了しました。
通院を終えるとき、予約日に行かなくなる、いわゆるフェードアウトしている方もいるようですが、私の場合は、こういうカタチで、通院終了しました。
あれだけの苦しい想いをしながら、通院していたときのことを考えると、実にあっけない感じです。心療内科に行かなくてもいい状態という現実は、気持ちが安定した今でも、少し不思議な感じがします。
うつを再発させないために…するべきだと思うこと
あの頃のつらい気持ちは、忘れたわけではなく、リアルに覚えています。
世界がモノクロに見えたことも、わけもなく手がふるえたことも。
絶望感でいっぱいになったことも、何もかも…。
正直、もう2度と、再発したくありません。
この暗闇と絶望感、焦燥感。体の症状もすべて、今までに体験したことのなかった感覚です。これは、うつを患った人でないと、リアルにわからないことかもしれません。だから、もう絶対に、その世界には戻りたくありません。
うつは、薬を飲むだけでは、治りません。
薬は、症状を抑えてくれるだけで、それ以上の存在にはなりえないと思います。
どんな治療をしていても、自分で自分を許して、自分で自分を変えない限り、なかなか治らないのがうつ病です。そして、どこまでも、自分で自分を追い詰めてしまいます。
一番の大敵は、「ストレス」。
過去への後悔や、いまの自分の状況への罪悪感です。
これの大元になっているのは、自分のものの考え方。性格。価値観です。
そして、それに人間関係が複雑にからみあって、どうしようもない憂鬱感にさいなまれます。自分が不快だと感じる状況にさらされていると、そのストレスが、知らずしらずのうちに、自分を攻撃し始めます。
こういう状態から、いかに脱出するのか。
まずは、自分を責めることを、なんとかやめるしかありません。そして、自分を責めるだけではなくて、周囲や社会を責めることも無意味だと割り切るしかないのだと思います。もちろん、簡単に割り切れるようなら、病気になどなっていませんから、時間がかかります。でも、少しずつ。少しずつ。自分を変えていくしかありません。
そして、なんとか、自分を責める頻度や強さが小さくなったら、元気だったころに好きだったことを、思い出してください。これは、、日々の生活の中に、少しでも「楽しみ」だと思うことを増やすことが、心にものすごくよい影響を与えてくれるからです。
管理人は、大好きだった音楽も聴けなくなり、テレビも見れなくなっていましたが、変わりたいと思い始めてから、過去に好きだった音楽が少しずつ聞けるようになりました。最初は、激しい曲は無理でしたが、そのうち全部、聴けるようになったのは驚きでした。
みなさんは、何か、すごく好きだったものはありませんか?
美味しい食べ物を食べたり、熱中した趣味を再開したり。音楽やアロマ、リラクゼーションも、おすすめです。
少しでも、ほっとできるもの。楽しいと思うものを、探してみてください。
こういうものを思いだしたら、最後は、生きがいと充実感。これは、病気にかかわらず、健康的に生きるためにとても大切なものですが、これは難易度が高いので、なかなか獲得できないかもしれませんが、これができると、鬼に金棒です。
楽しいと思えること。充実感のあるもの。生きがいだと感じるもの。この3つは、管理人も、これからも模索し続けていきたい大事なことです。
更年期うつで苦しんでいるみなさんへ伝えたいこと
うつでいま。苦しんでいるみなさんへ伝えたいことがあります。
それは、うつは、必ず、治る病気だということです。
今は、信じられなくても、信じてください。
苦しみは、永遠には続かないと、ただただ、信じて下さい。
最初は、信じるだけで充分だと思うのです。
この言葉は、いま、苦しみの真っただ中にいると、
「何、絵空事をいってんの?」と思うほどの言葉でもあります。
実際に、私自身がそうでした。こういうことを聴いたり、見たり、読んだりすると、イライラしました。世の中の何もかもを、拒絶していたのだと思います。
誰も、わかってくれない。わかってもらおうとも思わない。
この苦しみは、永遠に続くのだと。
でも、そう思っていても、「このままじゃ、絶対にいやだ」という気持ちが、ずっとずっと心の奥底にあることに気づきました。苦しみから逃れることができるなら、何でもしたいと思い始めました。
人によって、その出口は、いろいろなのだと思います。
現状を認めること。そして、変わりたいと思うこと。
いま思うことは、この気持ちが沸き起こるときに、初めて、自分の中に、一筋の光が射すものなのだと思います。
後から思い返すと、とるに足らない何か。それは、きっかけとなっているものなのかもしれません。そして、これは、変わりたいと思えば、誰にでも、いつかきっと訪れるものなのではないでしょうか。
その、きっかけですが、私の場合は、四国お遍路でした。
このサイトでは、別項目でさんざんこのことに触れてきましたが、お遍路に出かけたことが、大きな転機になったのは、間違いありません。
もちろん、これは私のケースですから、誰にでもあてはまることではないとは思います。
どんなきっかけも、空から降ってくるのではなくて、自分が動いたときに、初めてつかめる。それをつかみにいこうとする、そんな少しの勇気が、後から振り返ると、出口の入口に立てる鍵なのだという気がしています。
いつまでも続く苦しみはないということ。
うつは、いつか、必ず治るということ。
これを、できれば信じて、自分で自分を変えようと思うこと。
そうできれば、きっといつか何かが変わると思います。
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