四国お遍路がうつに効く理由

更年期うつの治療体験記|四国お遍路がうつ病に効く理由

更年期うつを、少しでも改善するために、いろいろな治療法を試してきました。薬だけでは、うつを治すことができないと、気づいてしまったからです。

 

ヒプノセラピーやスピリチュアルカウンセリング、漢方治療も受けました。

 

こうした方法にトライしても、基本的な病気の原因を、治すことはできませんでした。うつになってしまう考え方を変えないと、何も変わらないのです。

 

考え方を変えるために、劇的な効果があるといわれる岩波先生の「神経症改善プログラム」を受けたこともあります。多くの人にとって、きっと絶大な効果があるはずのプログラムですが、私にはむいていませんでした。心療内科への通院は、ずっと続けていましたが、もちろん治りません。

 

私はもともと、宗教に詳しいわけでも何でもありません。おそらく、多くの日本人がそうであるように、確固たる信念で、何かの宗教を信じるということはありませんでした。

 

それは、今でもそうです。神様の存在。もっと正しく言うと、人間の叡智の及ばない大きな力がこの世には存在するということだけは、漠然と信じています。その大きな力のことを、人は神様と呼ぶのかもしれません。

 

うつの長い停滞期。あるとき、私は「四国お遍路」に強い興味を持つようになりました。様々な病気、人生の苦難にあるときに、1000年以上にわたって、四国の88か寺の寺院をまわってきた人々のことを知って、いつしか、四国お遍路に、いってみたいという気持ちが強くなっていきました。

 

ある種、衝動的に、「四国お遍路に行ってくる」と行って、四国お遍路第1番のお寺がある徳島県に向かいました。

 


四国お遍路とは何か?

霊山寺

「四国お遍路」とは、弘法大師として知られる、空海(774年〜835年)が開いたといわれています。

 

四国4県にある、88か寺を廻って、仏教の教えを体験する修行のひとつで、弘法大師の足跡をたどりながら、自分を見つめなおし、自分の生きる道を探す手法でもあります。

 

弘法大師は、お遍路道ではとくに、親しみを込めて、「お大師様(たいしさま)」と呼ばれています。

 

お遍路を廻る人が着る白衣の背には、「同行二人」と文字が書かれていますが、お遍路の道中は、例え一人で回っていても、常にお大師様と一緒という意味が込められています。

 

四国お遍路は、お大師様と一緒に、お大師様の足跡をたどる巡業を行います。

 

四国お遍路にある、88か所ものお寺を廻るには、徒歩だと約30日〜40日。車で回ったとしても、10日間くらいの日数がかかります。

 

交通手段が便利になった今でも、決して楽とはいえない難所がいくつもあります。険しい山頂にあるお寺や、長い海岸道をひたすら歩いて辿り着くお寺もあります。この道を踏みしめながら、巡礼を行うのが、「四国お遍路」なのです。

 

なぜ、お遍路がうつに効くのか?

 

お遍路が、うつに効果があると思うのは、お遍路のご利益を期待しているからではありません。四国お遍路の最大の効果は、お寺を廻る行為そのものに、自分の心を癒して変えてくれると感じることです。

 

@「うつのときの過ごし方」の悩みを忘れさせてくれる

 

うつになると、それまでやれていたことが出来なくなって、少しはあっあたはずの自信というものが、限りなく小さくなってしまいます。

 

しかも、毎日、時間だけが過ぎていく。時間に追われるということが、ありません。どうして過ごしていいのかさえ、わからなくなっています。

 

四国お遍路に行くと、とにかく、お寺を廻るという目的ができます。しかも、移動するには、必ず、動かなければなりません。

 

お寺に参拝できるのは、朝の7時から夕方の5時まで。お寺が締まってしまうまでに、次のお寺に到達することだけで、頭がいっぱいになります。
そう、ある意味、悩んでいる時間がないのです。

 

「この道であっているのだろうか?」
「今日は、ここまで行けるだろうか?」
「泊るところはどうしよう?」
移動している間は、とにかく余計な悩みを考えている暇が、あまりないのです。
悩みを忘れる時間があることが、どれほどすごいことなのか、うつで悩んでいる方なら、おわかりいただけるのではないでしょうか?

 

88か所を回りきれば、何かが変わるのか? 何も、変わらないかもしれません。
でも、歩んでいるうちに、それでもよいのだと、思う瞬間が訪れます。見返りがあるから行くのではなく、無心になるために行けるのです。これほど、ありがたいことはありません。

 

A一人じゃないと思える感覚が沸き起こる

 

お寺を廻っていると、同じ白装束を着た数多くの巡礼者に出会います。話をするわけでなくても、同じ目的をもって、たくさんの人が参拝していること自体が、勇気をくれます。

 

巡礼装束の背中の「同行二人」の言葉が、身に染みてくることもあります。険しい山中のお寺を、息をはずませながら登る時。雨が降ってきて、霧が立ち込めて、少し心細くなっても、「お大師様と一緒」という感覚が、湧き起こります。

 

とくに、道中で一生懸命歩いている人を見かけたり、お寺で、声を出して、お経を読み上げている人を見かけたりすると、悩んでいるのは自分だけじゃないと思えることがあります。

 

参拝している方全員が、悩みを抱えているとは思いませんが、何かしらの理由があって参拝している人ばかりなのだと思います。お遍路は、そんな一体感さえ、感じさせることがあります。

 

B四国の美しい自然が癒してくれる

 

徳島の緑豊かな自然、険しい山々。太平洋沿いに海を眺めながら、ひたすら移動するとき。今まで、心に届いてこなかった自然の美しさを感じることがあります。

 

「海は青かったんだ」とか、「山から見る太陽がこんなに輝いてたんだ」ということ。仮死状態だった心が、少しずつ、動いてくる感覚が起こるのも、四国お遍路の醍醐味です。

 

C四国の人々の温かさにふれることがある

 

歩きお遍路の場合はとくに、四国の人々の温かさにふれる機会があります。もう1000年以上昔から、お遍路の人々を受け入れてきた四国という場所は、お遍路をしている人に対する理解と慈しみをもっている方が、数多くいらっしゃいます。

 

道中で、水をもらったり、休憩所で休ませてくれたり、果物を分けてもらったり。お寺のある休憩所でお茶を頂くこともあります。これは、「お接待」と呼ばれるご厚意で、四国ならではの慣習です。

 

お接待は当たり前のことではありません。でも、見ず知らずの人間に、やさしくしてくれる方々は、少なくはありません。人とふれあうことが怖くなっているうつ人にとって、人から頂く厚意は、固くなった心を解きほぐしてくれるような気がします。

 

D久しぶりの達成感が味わえる

 

うつになると、いわゆる達成感や充実感とは、ほど遠い日々が続いています。こういう感覚は、何かをしたときにしか味わえないものですから、当然と言えば、当然です。

 

ただ無心に、お寺を廻ること。決して、難しいことではありません。でも、1日、何か寺か回り終えたとき、久しぶりに忘れていた達成感と充実感が、心に湧き起こります。

 


四国お遍路に行ってから、変わったこと

四国お遍路

管理人がやった四国お遍路は、実はまだ全部回り切れていません。少しずつ、何回かに分けて行う「区切り打ち」の真っ最中です。

 

いま3/4ほどの行程を終えて思うことは、四国お遍路のおかげで心が動き出したということです。四国お遍路の道程は、人生に似ているのかもしれません。

 

私は、約2年の間、うつを患いました。長い停滞期間があって、四国お遍路に行くことを決意しました。お遍路にいってから、心に変化がありました。
2か月後に、減薬を開始して、6か月後に、断薬できました。
減薬や断薬ができるほど、心が安定し始めたのは、間違いなく、四国お遍路のおかげです。
長い道中、無心になり、ここから始めるのだということを、自然に感じられたのが、うつの停滞期を突破するきっかけになりました。

 

人生は長くてつらいことの連続ですが、ときには楽しいことも、嬉しいこともあります。これから先も、苦しいことばかりではなく、楽しいことも嬉しいことも、そのうち訪れるということを、四国を巡ったことで、心と身体が納得したのかもしれません。

 

これは、あくまでも管理人の感想ですが、四国お遍路には、確かにうつに効く何かがあると確信しています。

 

次回は、お遍路の道中のハイライトスポットをお届けします。道中で、うつを忘れる瞬間が訪れるスポットをご紹介しています。

 

続き「うつに効く!四国お遍路のハイライト」を読む。


「うつ女子のためのお四国お遍路ガイド」サイトを始めました

四国お遍路に興味を持っていただけた方向けに「うつ女子のため四国お遍路ガイド」サイトを作りました。2016年3月に、ついに88か所を結願。お遍路の魅力をご紹介しています。

 

ウツ女子のための「四国お遍路」ガイド

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